雨が時折降る、梅雨前の肌寒い季節に参詣して参りました。
『Sound Horizon 7.5 or 8.5th Story Concert 絵馬に願日を! 〜大神再臨祭〜』へ!
会場で黒い衣服を着た方々がたくさんいて懐かしい気持ちになりました。たまに見かけるゴシックやお着物の方々が麗しいです。
そうして会場入りしてから、一時間ほど待機。アナウンスでは今回、録音・録画に対する注意喚起が特に厳重になされていました。まだBlu-rayも発売前ですから、情報漏洩は一番のいけないことなのでしょうね。
徐々に盛り上がっていく会場の中、楽器を調整する音が響いていき、会場は消灯されついに幕開けです!
残念ながら席の都合上、舞台の全てを見られなかったので完全にタイトルを覚えきれていません。間違いがありましたらご指摘ください。
本編 第一の参道
右の参道である、石長姫子さんルートから始まります。
【星空へと繋ぐ坂道】
最初から情報量が多いです。
星空へと続くのが刹那な印象を与えるのに比べて、歌っている内容は重いのにどこかメロディは軽やかさを感じさせます。
神社での立ち振る舞いも完璧だったようです。合間合間に挟まるパーフェクトやエクセレントのポーズをする能楽関係者。
こちらでの姫子さんの祈りは「父が生き返りますように」を「九回」繰り返していました。そのため、こちらが8.5thのルートかと推測。参道も右側ですし。
能楽関係者が声をかけてもさほど動じることはありませんでした。素直に言うことを聞いて、巫女になる儀式を行います。
【狼欒大社】
「エレクトリカル神社」は「ゲーミング神社」になっていました。神社も大社になっており、ここで「再臨あそばれた」か「降臨あそばれた」か聞き逃したのが惜しいところ。でも順番的には佐久夜の姫子さんが先の新たなる巫女なのですかね。そうしたら、石長の姫子さんはIFルートになってしまうのか……考えてしまいます。
こちらの曲では勢いに乗ってシンクロリストバンドが大活躍!
「狼欒神群」の響きはいつ聞いても良いメロディです。テンションが上がるあがる。
この冒頭できちんと手を上げたりして礼をする石長姫子ちゃんが可愛い。
【夜の罪咎が見せた夢】
こちらのルートでは那美さんが生むのは男の子だったのですね。
「夜の因業が見せた夢」に比べて明るい印象を受ける曲でした。それでもまあ、重いことに変わりはないのですが……。
→右の石碑
【希望の詩】
石碑の内容にありました、ご利益二倍を選択したから生まれてきたのは双子になったのでしょうか。しかし、それが新たなる哀しみも生むことになりました。
上の子は急死して、下の子も聴力を失っていた。それでも子を諦めないで生きると誓う両親。
この子たちは、どのように育ったのでしょう。まだわかりません。
そしてノエルのことを思い出させるのは、この曲でしょうか。聴力の喪失を想起させる歌詞。このまま絵馬は、彼の出てくる「Nein」へと続く8.5thに辿りつけるのでしょうか……。それとも全く異なるロマンを紡ぐのでしょうか。
→右の石碑
【私の見つけた《地平線》】
アプリ版の新曲かしらと思いつつ、でも違うところもあって。
ここでようやく古事記に出てくる二人の姫のことを思い出します。
長寿のために差し出されたけれど選ばれなかった石長姫と、美しさゆえに愛されたコノハナサクヤヒメ。自分を岩と認める石長姫子さんはそこからきているのでしょうね。
【太陽を目指して飛べばいい】
乗り物よりも速くなることはできないのにどうして人はスポーツをするのか。
それは、自らの限界を超えたいからではないでしょうか。それでも対象が乗り物にまで広がっていることで、御影さんの負けず嫌いなところが伺えます。
全体的に明るい調子で太陽を目指して駆け抜ける! という曲でした。
でも、前を向いて歌に見えて影が見え隠れしている印象も受けました。
→左の石碑
【身を焦がす不屈の競技者】
大神の残酷な選択が御影さんを襲います。
駆け抜ける、とひたすらに前を向いて走っていましたが、金メダルは手にできなかったという選択。石碑の内容も、どちらを選ぶか難しいものでした。全ての困難を排して勝利を掴むか、それとも精神の勝負に立ち向かうか。
大神の選択は後者だったからこそ。
御影さんは歌の後に叫びます。
「ハッピーエンド? 私は金メダルが欲しかったんだよ!」
うーんぐさぐさきます。
完全なる幸せを与えられないのなら、せめて恨まれる責任も背負わないと大神にはなれないのでしょうね。
→(確か右の石碑)
【生と死の遊戯盤】
この曲! W姫子ちゃんたちが願いを叶えるために頑張っているのを妨害しているのは少年→黒い学生服→スーツの青年たちか!? と一気にメタ思考になっていきます。
遊戯盤の上でひたすら攻める攻める。少年だったスーツの歌い手。
曲も早くて聞き取れません。
【紫と青の参道】
耳に残るのに情報は何も残らない。それくらい勢いと速度があって、呆然とながれていきました。
狛狼さんたちが姿をとって歌います。「かしこみ」が「かちこみ」に聞こえる呪いにかかってしまいます。
次は左の参道である、佐久夜姫子さんルート。
本編 第二の参道
【星空へと続く坂道】
聞き慣れた安心感が凄まじかったです。坂道をかける演出が、やっぱり二年前の十五周年の時よりも豪華になっていて、コロナ禍との違いが感じられます。
姫子さんの挙動に対する神社関係者の語り口がいつもより優しい印象を受けました。そろそろ容赦を覚えたのでしょうか。
でも能楽関係者の方がノリ良いですよね。
【狼欒神社】
これも懐かしの狼欒神群! 一緒に踊る伊坂那美さんと犬彦さん、天野さんたちのキレがよくて、特に犬彦さんからは目が離せませんでした。
今回、犬彦さんの曲を聴けたらいいなーと思っていたのですが、大神の選択やいかに。
【夜の因業が見せた夢】
「夜の罪咎が見せた夢」との対比。こちらはやっぱり女の子を産んでいたでしょうね。と歌っています。
このルートの違いは何かなあと綺麗な歌声に聞き惚れながら考えてしまいます。
そもそも伊坂那美さんと伊咲那美さんの違いも。
「贖罪と《炎》の息吹」に伊坂那美さんは「内縁の夫」というので、伊咲那美さんは別の男性の本妻なのかしらん、とまだわからない答えについて考えてしまいます。
【贖罪と《炎》の息吹】
ここもまた安心感。
「って何神話のスケール感だに」が「だに」でなくなっていました。でもなんでしたかね。語尾が違ったことだけ覚えています。
必死に分娩を頑張った伊坂那美さんでしたが、その灯は儚くも消えてしまい、父親は伊坂那美さんを失った悲しみから我が子を否定してしまいます。この時の迫真の演技。
それでも、生まれた子に罪を背負わせるのは駄目だと思うのですよ。
産めなかった那美さんの贖罪だけでなく、姫子さんも贖罪するための息吹を吐くことになってしまいます。
→左の石碑
【恋では花を散らせない】
全ての人を愛せない姫子さんというフラグが立ちました。
男子生徒に告白されるも高らかに困惑を歌い上げる佐久夜姫子さん。その現場を見ていた教師。教師は姫子さんに、人を愛せない人がいるのだと、それは君だけではないと囁きかけます。それは、とても背徳的な光景でした。
誰もいない教室で踊り、「惹かれ合わないからこそ惹かれあう二人」。
最後の教師が姫子さんの着物の裾を撫でる演出に背中がぞわりと粟立ちました。雰囲気が恐ろしいです。
そして、教師さんはあの遊戯盤のスーツの人と同じ……? だったらとっても危ないことではないですか。
【恋は果てまで止まらない】
聞き覚えのある曲が流れてまた少し安心します。
恋に揺れる女の子の気持ちをポップに歌い上げます。しかしルビが大変。聞き慣れていてよかったです。
子役さんたちの演技も可愛らしかったです。
→左の石碑
【夜を駆ける二人】
右に行くと思っていたので左の選択に驚きでした!
冒頭に出てきた「ブリタニア連合王国」というフレーズに思わず身を揺らしてしまいました。「Chronicle 2nd」に出てくる薔薇の国のことですよね? これまでの地平線と確かに繋がっている示唆なのでしょうか。
宮比さんのところに犬彦さんが現れます。その前に待たせていたのには不穏な流れがありますが、それでも幸せそうな幼馴染、二人。
バイクで夜を駆けていきます。
【ある少女の告白】
これは……誰?
わからないながらも自分の容姿について、その努力について語る女性に外見の平等性とはなんだろうと、胸が痛みます。
それでも努力、なのですよね。美しく清潔な身だしなみで人に好かれるというのは。その努力を否定することもできない。
だけれどそうしたら、自分のことをみにくいと思う石長姫子さんはどうなってしまうのでしょう。
【紫と青の参道】
「かしこみ」がリフレインして離れません。
【私/我が繋ぐは新しき神話】
まさかここでキービジュアルの中心にいた白い軍服の人が出てくるとは!
佐久夜姫子さんと意味のありそうな視線と歌を交わしつつ、「結ばれたい人」について歌っていました。
コンサートも後半。どういうエンディングを最後には迎えるのでしょうか。
MC
【MC1】
カーテンを自分で開けて登場しました。
久しぶりに拝謁しましたが、ノリが変わっていなくて安心しました。
最初に謝罪です。一つはBlu-rayの発売延期、次に先日公演の機械の不具合について。裏で動き回っている時もあれば、動けない時もあるそうなので、大神の選択機能がうまく働かない時はすぐに教えてもらいたいそうです。
三種の神器合体版を重そうに持ち運ぶ陛下。その陛下の口から「煉獄杏寿郎」というセリフが出たのに、煉獄さん好きとしても嬉しかったです。あの、刀を立てて柄に両手を乗せるポーズ。エクスカリバーでもよかったかもしれません。
あとは地平線カードバトルという新単語が出てきました。私もやりたいです。夢のタッグが組めそうですね!
【MC2】
可愛いです。
「わ」と「おん」のダンスをばっちし決めてくださったアイドルさん。いつか画面上も乗っ取るのが夢だそうです。
【キャスト紹介】
漢字を間違いなく読めるのがすごいなあと思いました。
ダンサーさんは和装で格好良く舞い、演奏さんは可愛らしく、語り手さんは和やかに、歌い手さんも手を振ってくださいました。
これらの人数が揃う舞台になった時代が戻ってきたということにも、少し涙ぐんでしまいますね。
【即ち…光をも逃さぬ暗黒の超重力】
私の大好きな超重力! 跳ぶのは抑えましたが、久々に聴くことができて懐かしい気持ちになりました。最近は増えましたが、一時期は滅多に聴けないレア曲でしたので。
【SHK国家】
良い歌です。純粋に思えます。
歌詞もメロディも優しくて、この曲を最後に聴くと、気持ちが少し新たになります。
改めて思い返しながら書きますと、かなりの曲数を演奏していたのですね……。いつもより長くないので体感としては全くでした。
メルヒェンあたりから一曲が五分を越えるのは当たり前になっていたので、一曲ずつが短くまとまるようになったと思いましたが、そんなことはない。十二分に濃い内容でしたね。
と思っていましたら、帰宅してから読んだパンフレットに「曲を長くする方向性から変えた」(意訳です)とあってなるほどでした。
感想
コンサートに参加する前日に茨城に行き、当日は雨だったりして最初のテンションは低めだったのですが。
参加してよかったです! 「Sound Horizon」は一番好きで、新曲を待望するアーティストだと再確認できました。
Blu-rayでの履修をしていないからこそ味わえる情報量に溺れそうになりながらも、考えさせられること、特に選択制でありながらも大筋を通る曲の構成には衝撃を受けました。
最初の佐久夜姫子さんだけで進むのかと思いきや対比して配置される石長姫子さんの存在、そして少女と少年。母親と父親。子供と大人。男と女。勝利と敗北。考察したい要素はたくさんありますが、今回はコンサートの感想に留めたいと思います。絵馬のコンサートが全て終わり、Blu-rayが発売されてから個別にまた感じたことをまとめていきたいなと。
それくらい数多くの想いが込められている作品でした。