Memome

【継続の大切さ】
(銀鈴檻/カズタカとリブラス

 勢いだけで生きているように見える奴もいるものだ。
 カズタカは住居の庭にて、杖を水平に構えているリブラスを眺めている。木に寄りかかり、腕を組みながらも視線はそらさない。
 すう。リブラスが深く細く息を吸う。
「僕は呼び出し君はなく極楽鳥が飛び貫いては紺空を裂いて現れざるは天階の入り口に立つものよ其のために失われたのは星の間を賭ける狐の尾がなが」
 これは詠唱ではない。ただの発声訓練だ。聴いたものによっては「嘘だろ」と笑いだすほどに、気の遠くなる一繋の魔術に関するだけの。