2022年6月の読書まとめ(小説・漫画・ハウツー本)

小説
『未必のマクベス』早瀬耕著作 早川書房(6月17日読了)

 早瀬先生の作品は短編から入りました。それから、こちらの『未必のマクベス』も評判が良いことは聞いていたので長らく読みたいと思っており、今回ようやくです。
 タイトルのセンスが秀逸、な内容でした。終始淡々とした語り口でありながらも、主人公の「中野優一」さんのヒロインや友人に対する思いやりや愛情はいたるところで感じられました。人を愛することは、優しいことなのですね。
 恋愛小説と犯罪小説がコインのように表裏となっていて、一気に読んでしまいました。



『ブリット=マリーはここにいた』フレドリック・パックマン 早川書房(6月25日読了)
 
 結構前に購入していましたが、もったいなくて読めなかった作品です。
 最初は誰が誰かを読み分けるのに苦労しました。ですが、慣れてくると過去作の『幸せなひとりぼっち』に負けず劣らず強い物語でした。
 ブリット=マリーさんは旦那さんに浮気をされて過疎の町で働くことになります。そのブリット=マリーさんのこだわりは掃除なのですが、掃除とは綺麗に整えて毎日を快適に過ごせるようにする。
 それをずっと続けるという、当然な懸命さによって世界が変わっていく様子が鮮明に書かれていました。


ハウツー本
『書く仕事がしたい』佐藤友美著作 CCCメディアハウス(6月29日読了)

 ライターである著者が、どうやって、どうして二十年以上もライターを続けられたか。続けてきたのかを説明する本です。
 参考になり、ここまで努力をしないとだめなのかと考えさせられる本ですが。
 私にライターは厳しいなとも、思い知らされる一冊でした。


漫画
『ローゼンメイデン完全版 2』PEACH-PIT著作 集英社(6月2日読了)

 幼い頃に憧れた、フリルとリボンとゴシックの世界。
 それでも描かれるのは「生きることは戦うこと」という過酷な世界。気高く咲き誇り、華やかに装っても、生きる本質を忘れないローゼンメイデンこと薔薇乙女達の生き方に何度胸を打たれたでしょう。
 前半はほっこりとするかけあいも多いですが、蒼星石の退場から物語は加速しだして……「nのフィールド」を渡り歩くようになりますが、その際に出てくる綺麗さを感じさせる比喩も好きです。

 好きなキャラは、水銀燈です。

『ローゼンメイデン完全版 3』PEACH-PIT著作 集英社(6月24日読了)

 出版社を移籍し、切り替わる巻でした。が、無事に繋がっていて一安心。
 大人になりますと、最初はついていきづらかった「まかなかった世界」のジュンの努力や、ひたむきさや、失望といった感情が一層分かる気がします。辛かった部分もありました。
 それでもジュンのバイト先の同僚で、劇団員である斉藤さんに誘われた時に、舞台作りに丁寧に関わる場面がありました。そういった、手を抜かないところにジュンの良さが出ていました。あとジュンのバイト先の店長さんも実際やりづらい相手ですが、世の中のこなし方がしっかりしていてそこは……馬鹿にしてはいけない。
 
 壊れてしまった思春期は消えないけれど、傷になるけれど、それでも前に進むことはできるなあとしみじみしました。

『ローゼンメイデン完全版 4』PEACH-PIT著作 集英社(6月24日読了)
 
 薔薇乙女大集合! 雛苺がいないのは悲しいですが、久々に見る蒼星石は凜々しく儚く格好良かったです。
 続きが気になります。

『雨夜の君 2』くずしろ著作 講談社(6月27日読了)

 語彙力のない感想を言っても良いでしょうか。
 絶対に、この方は繊細で大胆に、鋭く世の中の光と闇を描ける方だと思っていました。『犬神さんと猫山さん』『姫のためなら死ねる』などいくつか作品を追ってきて、完全に網羅はしていませんが……この漫画は、抉ってきます。
 主人公の女子高生である咲希ちゃん。咲希ちゃんが入学した高校でクラスが一緒になった耳が不自由な同級生、奏音ちゃんとの物語なのですが、言語化するのが難しいほど人の優しさと、それ以上の心を壊す残酷さ、だけれどキャラクター一人ひとりのコミュニケーションが描かれています。

 読んでもらいたい、などという押しつけではなくて自然と誰か手に取ってもらえないかな。いまはただそれを願います。
 いつか感想を個別に書きたい一作。

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