第七章 平穏と罪業の変奏曲はいずれ 一括掲載版

 <香魚の記>

 第七の月、あなたは迷宮を抜けた。
 神は太陽の光を浴びるあなたにこれからの行く先を尋ねた。あなたは答えた。
「私は凍りの泉に向かいます」
 「危険なことだ」と神は忠告をした。
 あなたは神を背にして凍りの泉へと歩き出した。薄暗い森を抜けていった。乾燥した山を越えていった。青々と茂る草原を進んでいった。
 凍りの泉は冷え切っていた。靴を泉に着けられるほどだ。
 あなたは恐れることなく凍りの泉へ踏み出した。
 月に手を伸ばした。
 神はもう一度言われた。
「危うい行為だ」
 あなたは神を心に留めることもしなかった。

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