成瀬の物置き 2024/March

毎日更新を目標に、何かしらの破片を積み上げていきます。
いつか一つの大きな“何か”になることを祈って。


目次

小説(文字事)もどき

2024年3月17日

 カクヤは不意に気がついた。
「サレトナの爪が色づいている」
 机の上に揃って置かれた指先に淡い桃色が咲いていて、普段から細くて愛らしい指が一層乙女になっている。
「これ? フィリッシュに、一緒にしましょうと誘われたから」
「へー」
「学則違反にもならないし」
 そう言いながら、口元で両手を合わせる。上目遣いで見られるものだから、ついくすりと笑ってしまった。
「可愛いなあ」
「すぐそういうこと言うんだから」
 カクヤが「そういうこと」を言うのは「誰にでもないこと」は、まだ気付かれない。


2024年3月19日

 夜のことだ。
 電車に乗っていた。がたんごとんと、決まっているのに決まらない調子で揺れている。
「お客さん」
 呼ばれた。顔を上げる。
 女が立っていた。
「ローストビーフは一枚いらないかい」
 彼は断っていた。私も断った。
 女は残念がりながら次に到着した駅に降りていった。

 おそらくまた、次の乗車客に尋ねるのだろう。


2024年3月24日

 ブラインド商品という魔物がいる。目当ての物が出ないと困る。大変困る。だというのに、その魔物を相手にして楽しい時もある。
 それがどういう時かと言われると、いわゆる「推し」の「推し」が出ないときだ。
 推しが出てくれると嬉しい。とても嬉しい。この世の全てに花を贈りたい気分だ。私の下に来てくれてありがとうと、祭り上げてから崇め奉る。
 反対に推しが出ないと悲しい。欠けた試験管に水を注ぐ気持ちだ。
 だが、「推しの推し」が出ないと「推しに許されている私に嫉妬している」という気持ちになって、楽しいのだった。


2024年3月27日

 気怠い日がある。
 それでもがんばる人がいる。すごいことだ。がんばれるエネルギーはなんだというのだろう。愛だろうか希望だろうか。
「生活だろ」
 夢のないことだった。しかし、現実だ。
 大切だ。


2024年3月31日

 友達の顔をしないでください。
 拗ねの口調で言われたものだから、タトエはどういう顔をしたものかとつい考えてしまった。かといって正面から「どんな顔をしたらいいの?」などと彼女に聞けるわけもなく。
 タトエが浮かべたのは苦笑だけだった。
 それを見た彼女はふいと顔をそむける。そんなものが欲しいわけではないのだと言うように。


イラストもどき

2024年3月18日

そういえば3月14日はレクィエさんの誕生日でした。おめでとうございます!

2024年3月21日

グレースケールのサレトナちゃん。下まつげがないバージョンですと雰囲気が変わりますね。


2024年3月23日

とある漫画つながりで、スピッツの「ホタル」を聞いたら浮かんだイラストです。
いつ聞いても好きな曲になります。



2024年3月25日

トップページにも設置しました、まのらさんです。四匹増えました。


感想もどき

2024年3月16日

 『永世乙女の戦い方』が刺さって抜けないのです。


2024年3月22日

 本日読了しましたのは『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』です。
 音楽の技巧を語るのみならず、歌詞分析等や「アンチ・ラブソング」を初めとする多様な視点から曲の奥深さを引き出す行為に感嘆いたしました。
 作品に対する感想や考察は「正解」を求めるだけではありません。枠を広げることも肝要だと噛みしめています。


その他

2024年3月20日

 今日はなんと、鴨肉でバターライスを作りました。
 折角の機会ですからタトエ君に食事のレポートをしてもらいます。
タトエ「無塩バターであっても、鴨肉の脂と塩気のおかげでしっかりと味がついているね。玉ねぎをみじん切りにしたのも良い塩梅になっているよ」

 以上です。
 自分で食べても美味しかったです。



2024年3月26日

 落書きはしたのですが、本編未登場の新キャラクターですので公開できなくて悲しいです。


2024年3月30日
 まのらさんのアクリルキーホルダーなどを作ったらどうなのかなあと考えました。
 それよりも先に、「無音の楽団」のアクリルキーホルダーとアクリルスタンドなのですが。グッズはときめきの塊です。



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