何かしらの破片を積み上げていきます。
いつか一つの大きな“何か”になることを祈って。
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小説(文字事)みたいなもの
2025年11月1日(土曜日)
無音の楽団 Re:Praying(カクヤとソレシカ)
どちらか、ということにはあまり興味はない。
ソレシカが常に興味を引かれるのは光輝があるかどうかだ。相手が女性であろうとも、男性であろうとも、目を奪うほどの輝きを秘めた相手だったら等しく好意を抱く。タトエのことも、一目見た時に決して折れない芯の強さを感じ取ったから告白しただけだ。
「って、言うと。大抵『そんな理由!?』と言われて怒られるんだ」
「それは俺も怒るな」
向かいの席で苦笑するカクヤに、ソレシカは自身のずれを突き付けられた。
だとしても仕方がない。一度に二人も三人も同時に恋をするわけではないが、興味関心の対象は風に飛ばされた綿帽子の気ままさで移っていく。それはよろしくない、とこの前、サレトナにたしなめられた。カクヤも同じ意見のようだ。
「俺はタトエのことも大切だから。『好きだ』と言っておいて、『やっぱり違う』なんてことになったら、ソレシカを怒るよ」
「そりゃよかった」
怪訝そうに眉をひそめるカクヤにソレシカは安心した。
「タトエのために怒ってくれる人がいてくれて、よかったよ」
「ソレシカはもう少し、慎重になってくれ」
リーダーの頼みに対して、返答は笑うにとどめた。





