由為が目を覚ますと七日が思いきり抱きついてきて、きさらはつっかえながらも、まず衛は滅んだと伝えてくれた。
信じられなかった。
説明してくれようとする二人に、自分が見るべきものがあると伝えて、寝台から起き上がって屋敷を出る。
彼岸には花園の世話をしている人が、知っている人たちの半分だけいた。あとはいない。父も母も、優しかった人たちが半分いない。
貴海とファレンもいない。
由為は河に向かって走り出す。此岸と遮ってくれていた灰色の河の前には世界の果てがあった。それは花で編まれた壁だった。遮るものではない。この先には何もないのだと、落ちないように守ってくれる優しい壁だった。
顔を上げる。
空は、紫から薄紅へと流れている。
いま自分は違う空を見ていることに気付いた由為の頬に冷たい滴が流れて、地に落ちた。
END