成瀬の物置き 2025/June

何かしらの破片を積み上げていきます。
いつか一つの大きな“何か”になることを祈って。


目次

小説(文字事)みたいなもの

2025年6月27日(金曜日)

 沈黙の楽器亭の宿主であるナイテン・ルースは悩んでいた。
 目の前には湯気が立っている、ほかほかのラーメンが鎮座している。ナイテンはそのラーメンとにらみ合いを繰り広げていた。
「どうしたんですか?」
 声をかけたのは従業員であり調理員であるコルトナだ。真っ白いコックコートと、精霊族らしい長身が印象的な青年だ。
 ナイテンは低い声で答える。
「女性向けの、ラーメンというものはいかがでしょう」
 コルトナは「嗚呼」といった顔になる。ナイテンが何を気にしているのか理解したようだ。
 カクヤやソレシカを初めとする下宿生にも、他の宿の学生にも好評なラーメン。異国の料理。しかし、以前に下宿生であるサレトナと共に訪れた少女には厳しい評価を下されてしまった。
「うまい、とは言ってもらえたんですよね?」
「はい。ですが……これは罪の味だと」
「そこは人の好みなので気にしなくていいのではないでしょーか」
 ナイテンは首を横に振る。
「いえ。苦手な方に押し付ける気はありませんが、新たな可能性を探ることを私は諦めません。必ず、ロリカさんに許される味を作ってみたいものです」
 コルトナはナイテンの努力が報われることを祈った。


2025年6月21日(土曜日)

 暗闇の中に赤髪の学生が一人、立っている。
「準備はできたか」
「出来ているが、部屋の明かりはつけろ。目が悪くなる」
 格好つけている青年の苦労など欠片も気に留めず、ロリカは部屋の明かりを点けた。ぽわぽわと音がして、部屋が明るくなる。
 青年、クロル・シェンサイトは苦い表情を浮かべた。
「それで、どうするの? リーダー」
 けだるげに言うのはマルディ・ノーゼンだ。アユナ・トライセルは壁に寄りかかりながら口を開かずにいる。
「どうもこうもない。スィヴィアであるならば、すべきことは、手にするものはたった一つ」
 クロルの眼鏡が光る。
「勝利だけだ」


2025年6月14日(土曜日)

 今日は万理・タンガーの誕生日だ。
 そのため、休日であるがタトエとアユナ、万理の三人でシャレート公園へ集合していた。万里はすでに今日の目的を察しているのか、顔が普段よりも緩んでいる。そのことに気恥ずかしさを覚えながらも、タトエはアユナと一緒に万理へプレゼントの袋を渡した。
「はい。誕生日おめでとう」
「あんがとさんです」
 万里は受け取った袋の中身を見て、にこりとタトエとアユナに微笑みかけた。
 いいなあ、とタトエは思う。
 自身の故郷であるヘキサの友人たちも大切だが、セイジュリオで出会った友人もまた新しい喜びを与えてくれる。
「ねえ、万理」
「はい」
「また来年もお祝いさせてね」
 万里はこくりと頷いた。


2025年6月11日(水曜日)

清風「俺は信じられない」
フィリッシュ「何がよ」
清風「ロスウェルちゃんがカクヤに惚れているってこと!」
フィリッシュ「安心して、信じる以前にそんなことないわよ。いくらサレトナだって、あんなふにゃふにゃな男を好きになるなんて……」
清風「いきなりの沈黙を止めてくれ」
フィリッシュ「だって、サレトナは意外と、男の趣味悪そうだなって気付いちゃったんだもの!」


2025年6月7日(土曜日)

 ローエンカ・タオレンという人は教師に向いていない。
 なぜならば、彼は学生が好きだ。彼や彼女らの将来のために何事も真摯な態度で取り組むためだ。それは褒められることではあるが、名誉なことではない。
 適当さが必要だというのに肩の力を抜くことが下手なことも、問題だ。

イラストみたいなもの

2025年6月20日(金曜日)

『花園の墓守』から久しぶりの貴海さん。
珍しく目が生きています。
彼の名前と、配色はとってもお気に入り。


2025年6月17日(火曜日)

カクヤさんと清風さんでシンメトリー構図です。
なぜか二人ともどやどやしています。


2025年6月11日(水曜日)

補色系で色違いに塗ってみましたタトエ君。
雰囲気変わりますねー。


2025年6月9日(月曜日)

目の描き方を模索していました。くっきり分けようかしら。
誰を描いたのかは……ご想像にお任せします。


2025年6月6日(金曜日)

折角なので、クレズニさんと同じ角度でサレトナちゃん。
兄妹ですから。


2025年6月5日(木曜日)

いま、私の中で熱いと評判のクレズニさんです。
あまり吊り目にできなかったことが心残りですね。彼は吊り目です。

感想みたいなもの

2025年6月2日(月曜日)

『書架の探偵』という小説を読み返しています。海外小説は妙に淡々としつつも柔和な語り口が多いので、面白いのですよね。
あと発想も。いいなあ、この自由となります。


その他

2025年6月25日(水曜日)

少し思いましたこと。
自分が一番上手いなどとは到底言えませんが、心の底で「これだけは負けない、譲れない」がないまま、創作を続けるのも難しいですよね、と。
ううむ。ぽえみーな夜です。


2025年6月23日(月曜日)

成瀬の体調がだるんだるんです。
サレトナちゃんが熱中症になりましたら、カクヤさんは大慌てで木陰に避難させて、飲み物を持ってきてくれながら、膝枕をしてくれることでしょう。
いいなあ。見たいなあ。


2025年6月7日(土曜日)

『進撃の巨人』の巨人を憎んだエレンさんが、自身が巨人となることによって巨人を駆逐したという美しさをどこかで書いてみたいものです。
予定調和。



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