何かしらの破片を積み上げていきます。
いつか一つの大きな“何か”になることを祈って。
小説(文字事)みたいなもの
2026年6月28日(日曜日)
無音の楽団 Re:Praying(クレズニとソレシカ)
思っていたよりもよい人ではあるのだが、どこかずれているところにサレトナの兄だということを実感する。
ソレシカはうん、と頷いた。
新しいノートを買いに「籠水晶」にまで来たのだが、会計の席に座っているのはいつもの気だるげな店主ではなく、クレズニだった。ソレシカは手に取ったノートを差し出す。
「こんにちは。お会計お願いします」
「はい、こんにちは。ポイントカードは持っていますか?」
ソレシカは財布から籠水晶のポイントカードを取り出し、トレイの上に置いた。クレズニは意外なことに手際よくノートの金額を確認して清算を済ませていく。ポイントカードにも二つスタンプを押してもらえたので、安心する。
「クレズニさんって普段、何をしているんですか?」
「いまのように留守番でしたり、荷物の在庫確認、あとはレクィエの仕事のお手伝いもしています」
「へー」
何気なく打った相槌であり、意味も何もなかった。だが、クレズニには引っかかったらしく、眉を寄せられる。
「ソレシカさん。『へー』はないでしょう」
「なんだったらありなんですか?」
「たとえば『そうなんだ』など」
「あまり変わらない気がします」
正直な感想を伝えると、クレズニは顎に手を当てる。
「話題を広げる努力はしましょう」
「はい」
夏が近づくとクレズニさんの出番が増えます。
2026年6月26日(金曜日)
無音の楽団 Re:Praying(フィリッシュとサレトナとロリカと清風)
突然、清風は大声を出した。
「フィリッシュとロスウェルちゃんがいちゃいちゃしている!」
「大事なことを見逃しているぞ。この場には、私もいるということだ」
「あ、そうだな。ごめん」
ロリカに対してさらりとした謝罪で済ませる清風の態度にいらっとする。カクヤのように何事も重く痛く受け止めるのとは別の苛立ちだ。男というものはどうしてこうも、無駄に傲慢なのだろうか。
サレトナの髪に苛立ちをぶつけないためにフィリッシュは細く息を吸い、丁寧に橙色の糸を編んでいく。気高い少女が誰かに触れられることを許すのは、自分くらいだと自負している。この立ち位置は誰にも譲りたくない。譲ってはいけない。
「ロリカ、こっちに清風を近づけないでね」
「え、なんで」
「わかった。安心してくれ」
胸を叩いて担ってくれるロリカが大変頼もしく、フィリッシュはサレトナの髪を編むことに集中した。
最近はフィリッシュさんに要注目のようです。
サレトナちゃんを小さな頃から守っていたのだと思いますと……熱いですね!
2026年6月20日(土曜日)
無音の楽団 Re:Praying(ロリカとマルディ)
男の浪漫というものは大抵が冷静な判断を下せずにいたことが偶然、良い目を見たという結果でしかない。個人的な英雄行為に酔った挙句、自分だからこそ世界を救えたなどと肥大した自己肯定が一層、最悪な結果をもたらしていくことには気付かないままでいる。
ロリカ・命晶は女性特有の冷めた見解だとしても、「男の浪漫」を褒め称える気には一生なれはしない。世界を救い続けているのは個人の行いではなく、大衆の弛まない努力だ。
「ですが、その大衆の大半が愚か極まりなかったらどうなるんです?」
向かい合う少女、マルディ・ノーゼンはロリカの主張を論破しようとでも考えているのか、 にこりと微笑みつつ言葉を返す。
セイジュリオの授業は六時限目まで終わり、大抵の学生は帰宅しているか、各自のアクトコンで活動するなど青春を謳歌している。だが、ロリカとマルディは図書室にて静かなる論戦の準備にそれぞれ取り組んでいた。敵意はない。悪意もない。ただ、互いの考えの違いを大幅に広げて主張し合う。
意味も目的もなくとも、結果は出る。
「大衆とは数だ。一以上の存在に、完全な白も黒もない。それはたった一人の優れているとされる個人も同じだろう。万人が長所も短所も抱えているのだから、大衆に欠陥があるということは、個人にも欠陥があるということだ。その個人に全てを委ねるのと、大衆の総意に任せることに大きな違いはない。ただ、責任の所在は大きく変わる。大衆に任せるのならば、責任は個々に分割されるが、個人はその一人が全ての責を負わなくてはならない。だがな、その一人に責任を押し付けるのも大衆となる。そして、大衆もまた個へと帰す。つまりは、自身が大衆の一部であると自覚して責任を負わなくてはならない。だが、男の浪漫とやらに酔った行為には自身が担う責任といったものが意識から排除されているから、私は唾棄している」
文章の改革をしたいのです。そのための練習も兼ねての、短文です。
2026年6月18日(木曜日)
無音の楽団 Re:Praying(カクヤと清風)
カクヤは教室で昼食を食べている途中にふと、あることを疑問に思い、正面にいる清風に尋ねた。
「清風ってさ、得意な属性は土だろ」
「まあな」
「それなのに、どうして名前に『風』が入ってるんだ?」
ごくり、と口に含んでいた肉団子を飲み込み、清風も首を傾げる。その様子から見ると、本人も自身の名前の由来を知らないようだ。
もしかすると、聞いてはならない理由があるのだろうか。
「今度、親に聞いておくよ」
話はそれで終わりとなった。
どうしてなんでしょうね。
2026年6月12日(金曜日)
無音の楽団 Re:Praying(クロルとルーレス)
クロルはその質問をしたことを半ば後悔していた。
「だからね、クレズニさんはすごいんだよ。元からロストウェルスにいたからだろうけど、神学についての造詣は深いし、僕の話も論点を理解してしっかりと聞いてくれる。いままで、箱が世界だなんて説明をしても呆れられるだけだったけど、クレズニさんは僕の目をあの青い瞳で見つめながら最後まで聞いてくれたんだ」
「わかった。わかったから、そういう話は清風にしたらどうだ」
「いやだよ。距離が近すぎて恥ずかしいじゃないか。でも、 シェンサイトは僕の話に理解を示しつつも、胸に秘めて終わらせてくれるだろう?」
随分と買い被ってくれる。だが、その通りだ。
クロルは他人の恍惚を笑うことはしない。また、他者に話をして笑いものにすることもしない。他者を嘲弄する品のない行為は嫌いだった。
とはいえ、「ユユシ」の冷静担当のルーレスがここまでうっとりと夢を見ている様子はなかなか効いた。
世間話程度とはいえ、聞かなければよかった。
「最近あったすごいこととは一体」だなんて。
ルーレスさんはどうしてクロルさんではなく清風さんとチャプターを組むことを決めたのでしょうね。
聞いても曖昧な微笑みで終わります。
2026年6月1日(月曜日)
無音の楽団 Re:Praying(ロリカとフィリッシュ)
サレトナが下宿先である宿「沈黙の楽器亭」に帰宅するのを見届けてから、フィリッシュはシャレート公園まで戻ってきた。
本を読みながら待っていたロリカは、さらにフィリッシュが話し始めるのを待つ。元から待つことは苦手ではないため、焦らせることなく話を聞くことができた。
「わざわざ、ここに戻ってきてまで話すようなことか?」
「だってサレトナには気付かれたくなかったんだもん」
ロリカはあの聡い友人ならば、フィリッシュの気遣いなどとっくに見抜いていそうだという意見を飲み込んだ。口にしてしまうと両方を傷つけてしまう。余計な事実を得意げに話すことによって関係を壊したい相手ではない。
ロリカにとって、フィリッシュもサレトナも大切な友人だ。
「それで、フィリッシュはアラタメの誕生日をいかに自然に祝うかを悩んでいるのか」
「違う。カドの立たない、義理程度のプレゼントを探しているの。ロリカだったら何がいいと思う?」
しばし、考えてから答えた。
「カモノハシの涙のデザートでよかろう」
「それはもったいない」
すぐさま却下されてしまった。
もう再来月がカクヤさんの誕生日。リプレの時間軸だと今月ですかね。
イラストみたいなもの
2026年6月16日(火曜日)


描いた日は間に合ったはずですのに、投稿する日が遅くなったミラクル。
すみませんでした!
2026年6月10日(水曜日)


最近人気のフィリッシュさんです。
フィリッシュさんが人気であることは良いことですので、私はこれからも彼女を温かく見守っています。
サレトナちゃんと仲良くね。
2026年6月5日(金曜日)


素朴なアユナさん。クリッピーの期限切れ前に購入したペンで描きました。
描き心地は良かったです。
感想みたいなもの
2026年6月24日(水曜日)
最近は坂口安吾氏の著作をちまちま読んでいるのですが、ここまで自身の考えをはっきりと述べられる方がいまの日本にいるのだろうかという気持ちになります。当時とは状況が隔世の感ではありますが、当時は当時で言い過ぎるのも鼻つまみにされていたでしょうし。
だけれど、坂口安吾氏は言ったのです。
言えない私は矮小で卑怯で、臆病な人間です。そういった気分になります。
とりあえず、偉ぶらないでおきましょう。
その他
2026年6月23日(火曜日)
『無音の楽団 Re:Praying』はなかなか調子よく地獄街道を走っているのですけれど、もう少し地獄の描写を事細かにしたかったなあと、第九章あたりを読んで溜息を吐きます。
ところどころでサレトナちゃんに対するひどい描写はあるのですが、もっと場面で表すべきだったのではないかと煩悶中です。





