かわいいところ

とうらぶのこぎみかです。
注意書き:現パロです。兄弟設定です。みかちかさまがショタです。


 現代によく似た時代でのこと。
 九条小狐丸は机に向かってかりかりとシャープペンシルを走らせていた。その部屋の扉を開けて、とてとて、小さな足音を立ててやってくる優美な容姿の少年がいた。
 三条三日月である。
 三日月は小狐丸の机の横に顎を乗せると首をかしげて誰もが鞄の中に入れていたかもしれない菓子を探さずにはいられない、とろけた微笑を浮かべて言う。
「あにさま。げえむをしよう」
「試験前なんじゃが」
 優等生と名高い小狐丸だがそれは自身の能力を恃んでいるためではない。日頃の努力の積み重ねによるものだ。だから、今回も手を抜かずに勉強に勤しんでいるのだが、三日月はあっさりとその努力を打ち砕こうとしている。
 その後も三日月は小狐丸の気を惹こうと服を引っ張ったり、背中を叩いたりするのだが、いつものことと慣れている小狐丸は机から離れようとしない。
 だが、諦めきれず膝の上によじ登ろうとしたのか、小狐丸の足のあいだから三日月の柔らかなかんばせを出された時には小狐丸も遊びに参加せざるをえなかった。誰かに見られたら怒られるだけではすまないだろう。三日月は小狐丸への警戒心が皆無であるから、大胆な行動に出ることがよくある。その度に注意されるのは三日月ではなく小狐丸なのだから世は理不尽だ。
 リビングに移ってから、小狐丸はソファに座り、三日月はその膝に乗りながら頭をひっつかせて甘えてくる。弟だというのに猫みたいだ。
「で、どういう遊びじゃ」
「三日月のあいらしいところを、あにさまが当てる。ちゃんと、鶴が一緒に決めてくれたぞ」
「ははは、なんとも三日月らしい自信にあふれた遊びじゃのう」
 いくら世が絶えても見つからない美貌をすでに宿している三日月といえど、そこまでやれる自信がすごい。ついでに言うのならば付き合った鶴丸国永は何を面白がったのだろう。
 小狐丸は遊びに乗る方向に思考を切り替えて、初手は堅実に打つことにした。
「目」
「あたりまえだ」
 だろうな。
 三日月の目は朧な月を宿している珍しいもので、彼の外見の特徴を挙げるとしたら、誰もがまずその瞳の美しさを称えるだろう。
 では。
「双葉」
「そんなものあるのか?」
 いまも頭の上でぴこぴこしているものはなんだろうと小狐丸は遠い目をした。
「頬」
「おしい」
「鼻」
「うーん」
「顔」
「とうぜんだ。そろそろてきとうになってきたな」
 小狐丸は改めて三日月を見る。じっと、観察すればするほど三日月の顔立ちも、それを構成する一つひとつも魅惑的だ。我が弟ながら傾城の魅力がありすぎて恐ろしくなるのだが、三日月自身はいまより幼い頃から「狐のあにさま以外いらない」と切り捨てているので、さして問題はないだろう。課題があるとしたら兄弟だという点だけだが、それも小狐丸が外の家に養子へやられたので解決している。しているはずだ。
 三日月がやがて自分の物になるのかと、ふと感慨深くなった小狐丸はゆっくりと三日月に顔を近づけていく。距離が狭まるごとに三日月は胸に手を当てて、きゅっと目をつむった。まるで口づけをせがむようだが。
 小狐丸はその唇に、自分の指を当てた。
「唇。今剣の兄上、こちらは?」
「ななじゅってんですね」
 指が離れた後に三日月はきょとんとしている。
 それからむうと拗ねた顔をして、唇を尖らせながら小狐丸の髪を引っ張った。抜けるほどではないが、痛い。
「あと、さんじゅってんあてないとだめだもの」
「そんなのすぐ見つけられるわ。三日月の愛らしいところなど、私が一番知っておる」
 言いながら三日月をかいぐりかいぐり撫でる小狐丸と、大きな手に触れられて歓喜の声を上げる三日月を見つめながら、今剣はぽつりと言うのだった。
「なかいいですね」
「そうだな。ただ、小狐丸の試験勉強は放っておいていいのか?」
「もうしりませんよ」
 それでも小狐丸が試験の結果、首席の座を誰にも譲らなかったのはまた別の話になる。




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